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大阪府、堺市に緊急要請
博物館などが閉館対応で雇用不安に

 新型コロナウイルス感染症の拡大によって公共施設が閉館し、そこで働く公共民間の組合員に雇用不安が広がっています。大阪府本部と公共民間評議会は大阪府と堺市に緊急要請を行い、公共施設で働く者の課題解決に国の交付金を活用し、賃金削減をしないよう指導することを求めました。指定管理者制度を導入した公共施設では利用料金に頼る運営も多く、今回の閉館対応による損失は民間管理者が負担することになります。公共施設の管理維持体制を守るためには、民間管理者への財政的バックアップが欠かせません。

 博物館、スポーツ施設、文化会館、会議室・ホールなどの公共施設は、社会福祉法人や財団法人、株式会社が管理運営し、入場料や貸館使用料を主な収入源とする場合があります。国内の感染拡大直後から閉館対応した結果、こうした公共民間職場は大幅な収入源となりました。中には、減収で人件費を確保できず雇用調整助成金の申請を始めた職場もあります。

 こうした事例は全国で相次ぎ、自治労は国の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の活用について緊急自治体要請の取り組みを各県本部に求めました。この交付金は第一次補正予算で1兆円、第二次補正予算案で2兆円が盛り込まれている。これを閉館対応した公共施設の再開にむけた環境整備支援に使うことで、現場の雇用不安を解消することができます。交付金の使途をめぐっては、4月30日参議院総務委員会で自治労組織内の岸まきこ参議院議員の質問に対し、「各自治体の判断で極力自由に使える仕組み」と内閣府が答弁しています。

 府本部は6月9日、大阪府に要請を行い、①交付金を積極的に活用して労働者を取り巻く課題解決に取り組むこと、②閉館で減収した民間管理者に賃金削減を行わないよう指導すること、③この措置を取るよう府内自治体に周知・徹底することを求めました。西川徹二副委員長や公共民間評議会・針本尚往議長などから要請書を受け取った小田哲史市町村課長は「自治体要請による休業なので当然支援されるべき。要請内容は周知する」と応じました。

 翌10日には堺市に右記①と②の緊急要請を行いました。田中伸生副委員長や茅原秀行公民評事務局長、中野正之自治労堺委員長などから要請書を受け取った大丸一総務局長は、「指定管理者、委託職場の雇用継続は重要だ」と述べました。府本部は大阪市への要請も調整しています。

 公共施設を民間管理者に運営させる指定管理者制度は、利用料金を自治体ではなく民間管理者への直接の収入とできます。住民サービスの向上を理念としますが、現実は管理費が減らされて、行政による民間事業者の下請け化が進んでいます。運営コストが十分にカバーできないと、非正規労働者の増加など「官製ワーキング・プア」の温床となります。

 大阪市は、自然災害など不可抗力でも「指定管理者に対する休業補償を行わない」と運用ガイドラインに明記。今回も自治体から民間管理者への補償は不透明です。大阪は指定管理者制度が広く導入され、大阪府の公共施設での導入率は96・6%で都道府県トップです(2018年4月・全国平均59・6%)。