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2016/4/20 水曜日

「熊本地震」災害発生に際しての声明

Filed under: オピニオン — 編集部 @ 2:35:02

2016年4月14日午後9時26分に発生したM6.4(推定)、最大震度7の地震を皮切りに熊本・大分両県で続発した「熊本地震」は、現在でも予断を許さない状況が続いています。

自治労は、今回の大災害にかかわり、自治労熊本県本部・大分県本部を通じて現地の状況の把握と現地支援に向けた協議を行っています。

自治労大阪としても、4月18日、「熊本地震」への支援活動などに対する声明を出し、当面の取り組みとしては、被災地支援のための義援金カンパに取り組んで行くことを決めました。

「熊本地震」災害発生に際しての声明

2016年4月18日
自治労大阪府本部

熊本県において4月14日午後9時26分に発生したM6.4(推定)、最大震度7の地震を皮切りに、熊本、大分両県で続発しているいわゆる「熊本地震」は、4月16日午前1時25分に発生したM7.3(推定)、最大震度6強の地震を本震として、余震はいまだ収まっておらず、予断を許さない状況にあります。

被害状況は深刻で4月17日現在、死者42人、行方不明7人、負傷者1063人(うち重傷205人)にのぼり、避難者は20万人に達しています。また、住宅損壊は2442棟(うち全壊400棟、半壊1266棟)に及び、断水25万8000戸、停電5万6200戸、などライフラインにも深刻な被害が出ています(以上、被害状況は毎日新聞4月18日朝刊より)。

まず、今回の地震でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、負傷された方、被災され避難生活を余儀なくされておられるすべての方々に心からお見舞い申し上げます。あわせて自らも被災しながら現在、救助活動や被災者支援の先頭に立って尽力されている熊本、大分両県の自治体職員、自治労組合員の皆さんに心から敬意を表します。また既に大阪からも多くの自治体職員、自治労組合員が救助、救援活動に派遣されており、その活躍とともに安全確保を祈念するものです。

現地では続発する余震のため屋外での避難生活を余儀なくされる方が多く存在するとともに、交通インフラの寸断の影響もあり、水や食料など生命にかかわる支援物資の輸送に支障をきたしているとマスコミ報道は伝えており、一刻も早い救助、救援活動が求められています。国の総力を挙げた救援活動の展開を政府に要請するものです。

一方、支援ボランティア活動については、なお余震が続いていること、現地での受け入れ態勢が整っていないことなどから、慎重な対応が求められています。自治労も自治労熊本県本部と連絡を密にしつつ、現地の情報収集に努め、支援ボランティアの派遣等について、慎重に検討している段階と聞き及んでおります。

自治労大阪府本部は、被災地支援のための義援金カンパに早急に取り組むとともに、自治労に結集し、支援ボランティア活動の要請があれば即応できる体制を整えることとします。加盟各単組のご理解とご結集をお願いいたします。

地震の一刻も早い終息と復興を重ねて祈念し、自治労大阪府本部としてできる限りの支援活動に取り組む決意を申し上げ、「熊本地震」災害発生にあたっての声明といたします。

以上

2016/4/15 金曜日

大阪市立環境科学研究所の廃止分割など3条例可決に対する府本部抗議声明

Filed under: オピニオン,見解 — 編集部 @ 15:00:11

議決に対し強い憤りと抗議
重大な影響を及ぼしかねない事案

大阪市会は、3月29日、本会議で「大阪市立環境科学研究所」の分割と「大阪市立環境科学研究センター」の設置、並びに「大阪府立公衆衛生研究所」との統合・独立行政法人化に関する条例案を維新の会、公明党の賛成により、可決しました。これに対し自治労大阪府本部は、6日の執行委員会で、今回の議決に、府民、大阪市民の生命と安全に重大な影響を及ぼしかねない事案として、強い憤りと抗議の意を表した抗議声明を発表しました。この案件では、当該の大阪市職も反対の立場を鮮明にし、各会派への要請行動や朝ビラの配布活動に取り組んでおり、可決を受けて、抗議集会の開催や抗議声明も公表しています。この事案については、すでに府議会で自民を含む3会派の賛成で可決されています。自治労大阪府職も、一貫して反対の立場で取り組みを進めています。

声明全文

2016年3月29日、大阪市会本会議において、「大阪市立環境科学研究所条例を廃止する条例案」「地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所への職員の引継ぎに関する条例案」「大阪市立環境科学研究センター条例案」などが大阪維新の会、公明党の賛成により賛成多数で可決されました。この条例案は、「大阪市立環境科学研究所」を「環境」と「衛生」に分離し、「環境」部門は新設される「大阪市立環境科学研究センター」へ、「衛生」部門は、「大阪府立公衆衛生研究所」と統合し、独立行政法人化を行うなどとするものです。

自治労大阪府本部は、住民の生命を守るために都道府県及び政令市に設置が義務付けられている「地方衛生研究所」は当然、直営で運営されるべきとの前提に立ち、大阪府立公衆衛生研究所と大阪市立環境科学研究所の衛生分野を統合し、独立行政法人化するという構想は、健康危機事態に際して、首長の直接的な指示、命令権限が確保されず、不適切であるとともに、衛生分野と環境分野の協働で高い効果を上げている大阪市立環境科学研究所の機能を著しく弱めるとして、提案当初から反対を表明してきました。

しかし、吉村市長は、3度にわたって大阪市会で否決され、かつ昨年5月の大阪市廃止・分割の是非を問う住民投票が反対多数で「否決」され、今後とも大阪府、大阪市の二層構造で大阪の地方自治が運営されることが決定されたことにより、両研究所「統合」の必要性は完全に消失していたにもかかわらず、独法化に固執して再提案を強行しました。

加えて、急遽、再提案された条例案では、環境分野の研究所として「大阪市立環境科学研究センター」が大阪市直営で設置されることとされました。この結果、吉村市長が提案した最終案は、財政効果すら担保されない非効率な案となりました。さらに再々提案された条例案も、健康危機事象における大阪市長の指示、命令権を担保するものとはなっておらず、むしろ条例案の欠陥を露呈するものとなっています。

また、条例案の内容だけでなく、大阪市会の関係委員会において、複数の委員から私たちの指摘と同趣旨の意見表明や質疑があったにもかかわらず、吉村市長及び関係理事者の対応は、論点をはぐらかすような答弁に終始する不誠実なものでした。吉村市長のこうした対応は、市民の生命と安全とともに、自治体の最高議決機関である地方議会をも軽視するものであり、民主主義を軽んじる政治姿勢に強い憂慮の念を抱かざるを得ません。

自治労大阪府本部は、こうした立場から今回の議決に強い憤りとともに抗議の意を表すものです。

同時に、条例案の可決により、今後、「改革」案の具体化が進むことになりますが、関係労組とともに「府民・市民の生命と安全」を守る立場を第一に、安易な独法化に危機感を持つ市民とも広範に連携し、引き続きとりくみを進めていくことを表明します。

2016年4月6日
自治労大阪府本部

 

2015/6/23 火曜日

大阪市廃止・特別区設置住民投票「否決」に関する自治労大阪府本部見解

Filed under: オピニオン,見解 — 編集部 @ 15:05:01

自治労大阪府本部は、6月3日、2015年度府本部第9回執行委員会で、大阪市廃止・特別区設置住民投票「否決」に関する自治労大 阪府本部見解を発表しました。自治労大阪は、僅差での勝利に対し、民主・リベラル政治勢力の退潮に歯止めがかかっていないと分析。大阪における政治的危機 はなお継続していると示しました。また、政令指定都市の権限や財源を最大限活用した大阪市政改革のあり姿を市民に提示することが必要と強調しました。

以下、見解全文です。

「大阪市廃止・特別区設置住民投票「否決」に関する自治労大阪府本部見解」

大阪市廃止、特別区設置の是非を問う住民投票は2015年5月17日に実施され、反対票705、585票、賛成票694、844 票、投票率66・83%で、わずか10、741票の差で、「否決」されました。大阪市民は、今回の「否決」によって、政令指定都市・大阪市の存続を選択し ました。まず、大阪市民の賢明な選択に敬意を表します。

府本部はいわゆる「大阪都構想」について、当初から府県集権主義的な制度改革案であり、自治労が提唱する基礎自治体中心主義による 地方分権改革と相容れないものとして反対してきました。具体的には関係単組による「大阪府市問題対策会議」、大阪自治研センターと連携した「大阪の自治を 考える研究会」、民主・みらい市会議員団と連携した「法定協議会対策会議」などに取り組み、2013年10月5日に開催した第58回定期大会で大都市制度 対策室を設置し、活動強化をはかってきました。

今回の住民投票に際しては、自治労をあげた取り組みを要請するとともに、連合大阪に結集して取り組みました。また、対話と合意を重 視する政治の実現をめざして結成された「府民のちから2015」に連合大阪を介して結集し、政党・会派の違いを越えて大阪市の廃止・分割に反対する広範な 運動の一翼を担いました。これらの運動が今回の「否決」に結実したものであり、自治労組合員はもとより、大阪市廃止・分割反対に立ちあがったすべての政 党・会派、障害者団体や女性団体などの市民団体、若者たちのグループ、「大阪市民」として立ちあがった個人の皆さんらとともに勝利を共有し合いたいと思い ます。

住民投票「否決」を受けて、改めて以下の点を確認しておかなければなりません。第1に大阪市廃止・分割構想は稚拙で、市民を不幸に する構想であったこと。第2に、強引に住民投票が実施されたこと自体が誤りで、暴挙であったこと。第3に、この暴挙に政権中枢が関与し、劣化したマスメ ディアはその問題に対するチェック機能を果たせなかったこと。第4に、今回の事態を許した政治状況は今も存在し、再来の危険性を有していること。以上の点 をふまえるなら、今回の「否決」が極めて僅差での勝利であったこと、民主・リベラル政治勢力の退潮に歯止めがかかっていないことを含め、大阪における政治 的危機はなお継続しているとみなければなりません。

この政治的危機を本格的に克服するためには、政令指定都市の権限や財源を最大限活用した大阪市政改革のあり姿を市民に提示しなけれ ばなりません。そのことによって橋下・維新の会の暴挙で二分されてしまった「民意」をひとつに再統合しなければなりません。いま、まさにその「ラストチャ ンス」です。

各政党・会派が活発な議論を通じて市民に見える形で政令指定都市・大阪市の未来像を提示することを要請するとともに、府本部として も公務・公共サービスを担う労働者の労働組合であるという社会的使命を自覚し、主体的取り組みに邁進します。また、こうした取り組みを通じて、民主・リベ ラル政治勢力の再生が果たされ、秋の大阪府知事選挙、大阪市長選挙での勝利に結実しうるように希求するものです。

2015年6月3日
自治労大阪府本部執行委員会

2015/4/22 水曜日

反対の呼びかけ全国展開/住民投票「否決」めざす

Filed under: オピニオン — 編集部 @ 3:15:59

自治労は、13日、大阪市を廃止・分割する「大阪都構想」に対する見解を発表しました。声明では、自治労大阪が進める取り組みへの連携を一層強化するとともに、全国の組合員から大阪市内居住の親族・知人・友人に対する反対の呼びかけを展開するなど、住民投票での「否決」をめざした取り組みを進める方針を示しました。

大阪市では、政令指定都市である大阪市の廃止と特別区の設置の是非を問う住民投票が5月17日に実施されることが確定しています。しかし、市民の判断の材料となる協定書は、法定協議会での議論を尽くさず、大阪維新の会が単独で取りまとめたものとなっています。一連の流れについて自治労は「民主的ルールをふまえたとは到底言えない」と強く断じています。市民には、大阪市を廃止することで行政サービスがどのように変化するのか正確な情報が伝わっていません。自治労は「市民の理解がないままに住民投票の実施が決定され、否応なく重要な選択を迫られることになったことは極めて遺憾」と表明しています。

住民投票で大阪市の廃止・分割が承認されれば、2017年3月末日で大阪市役所も大阪市会も消滅します。このことに伴い、地公法28条に規定される分限処分の可能性も否定できません。

橋下市長はこれまで大阪市の自治労加盟労働組合に対して不当労働行為を繰り返しています。また、徹底した組合敵視政策も推し進めてきました。自治労からは、当該組合にとどまらず、全国に波及しかねない看過できない問題として、労働委員会闘争や裁判闘争への支援がありました。これらの闘争では大きな成果を勝ち取っていますが、橋下市長の組合敵視姿勢は依然是正されていません。

二重行政解消
現行制度で可能

二重行政の解消は、特別区設置でしか解決できないかのように喧伝されています。しかし、現行の大阪市・大阪府を存続させてもその解消は可能です。

大阪市廃止分割構想、いわゆる「大阪都構想」では、マスコミ調査などでも二重行政の解消ができるから「賛成」という意見が多数を占めています。一方で、大阪市を廃止し特別区の設置には、多額の経費がかかることが見込まれています。また、東京都特別区の事務権限を超え、中核市並みにし、住民に近いサービスを提供すると吹聴しています。しかし大阪では、東京都および東京都特別区に比べて乏しい税財源のもとで、これを実行すれば、直ちに財政危機を招くことは明白です。これらの問題点について、市民に対し、分かりやすく丁寧に説明をすることが重要です。

2015/4/21 火曜日

大阪市の下水道職場とその役割

Filed under: オピニオン — 編集部 @ 12:38:12

大阪市従業員労働組合 西尾 淳

大阪市下水道の役割

私たちのライフラインに欠かすことのできないのが電気・ガス・水道です。そして、あまり目立つことはありませんが、日常の生活排水を処理する役目をもつ『下水道』も当然欠かすことができません。

こうしたなか、大阪市下水道は、水循環を維持・回復させ、私たちの日常生活における安全向上に寄与する役割と、梅雨や台風、近年多発する局地的集中豪雨(※1)などの水災害から市民の生活・財産を守る役割(浸水防徐を目的とした役割)を担っています。

大阪市下水道の歴史

下水道の古くは、豊臣秀吉の大阪城築城に伴い始まりました。碁盤の目状に整備された道路に沿って建てられた家々の背中合わせのとこ ろに下水溝が掘られたのです。そして、この下水溝に挟まれた40間四方の区画が町割りの基本となったことから下水溝に『背割下水』や『太閤下水』という名 称がつけられ、現在も使用され続けています。

大阪市は、1894年に下水道事業を立ち上げて以降、市域の拡張などに伴い下水道の改良が必要とされ、1922年より都市計画事業 として下水道整備を進めてきました。しかし、急激な市勢発展に伴い下水道への排水量が増加し河川などの水質が悪化したため、排出された汚水を処理し浄化す ることが求められてきました。

私たち下水道事業の職場

大阪市の下水道事業は、『下水処理場』・『抽水所(ポンプ場)』・『管路管理』と三つの部門に分かれています。

大阪の地勢は、南から北に延びる上町台地とその周辺をめぐる低地から成り立っています。何千年もの昔、この上町台地は深い原生林に 覆われ、低地は波打ち寄せる入り江でした。長い年月を経て入り江は潟・湖・湿地と変化し、その上に街づくりが行われ現在の市街地が形成されましたが、上町 台地とその周囲に広がる低地という地勢は今も昔と同じです。そのため、大阪市域に降る雨水の90%はポンプで川や海へ排水しなければなりません。こうした 地勢において浸水被害を未然に防ぐため、それぞれの部門は日々休むことなく稼働し続けています。

下水処理場部門

下水処理場は大阪市内に12カ所あり、1日に2,844,000㎥[25mプール(約660㎥)×4,300個]の排水処理を行っ ています。処理場職員は、施設内にある処理設備の分解点検や修繕をはじめとした施設の保全業務、そして運転管理・データ整理や各省庁からの調査資料の作 成、設計業務などの施設の維持管理、水質管理も行っています。

その他、環境問題にも積極的に取り組んでおり、活性汚泥法(※2)による高度処理や降雨直後に発生するファーストフラッシュ(※3)の解消など、河川へ放流する水の水質保全に努めています。

抽水所(喞筒場(※4))部門

大阪城を中心に逆すり鉢状の地形となっている大阪市内では、下水道管一本では下水処理場へ送水することができません。そのため、流 れてくる下水を一度高い位置へポンプでくみ上げる必要があり、その中継施設として設置されているのが抽水所です。また、大阪市内は、民家(土地)より河川 の方が高い位置にあることから、梅雨・台風・局地的集中豪雨などによる浸水被害を防止するため、雨水を河川へ逃がす役割も担っています。

抽水所施設は全部で58カ所あり、12カ所ある下水処理区内それぞれに設置されています。なかには雨水や農業用水を河川へ逃がすた めだけの専門施設もあります。抽水所職員は、そうしたなか、抽水所施設内の各機器の分解・整備や設備改良工事・設備修繕業務、設備の老朽化に伴う延命措置 対策などの維持管理業務を中心に行い、降雨時における浸水災害防止に向け、昼夜問わず常時備えています。

管路管理部門

管路管理ではインフラの確保に向けて、日々、埋設された下水道管の状態調査、下水道管路の補修・清掃業務、設計・監督業務を中心に行っています。

管路の保全業務では、老朽化した管渠を調査し、大阪市建設局とのヒアリングにおいて、老朽化した管渠の布設替えに向けた調整を行っ ています。また、設計・監督業務では、老朽化した管渠の耐震化に伴い、コスト面と耐震性・安全性の両面を考慮し、『管更生工法(管の内側に更生材を形成す る手法)』を採用、更新工事を進めています。

その他にも、各埋設企業体の工事に伴い、施工現場へのパトロールを兼ねた管渠保全にも努めており、道路陥没などの緊急時への対応なども併せて行っています。

管路管理では、こうした日常業務に加え、各地域での道路や家屋などの浸水災害を未然に防ぐため、防災パトロールなども実施していま す。また、台風接近に伴う浸水災害などを未然に防ぐため、大阪市内の低地を把握し、特に浸水被害の多い地区では、事前に各住宅などへ土のうを配布して大雨 通過後には回収を行うなど、市民とともに浸水被害防止に向けた対策をとっています。また同時に浸水災害発生時には住民への説明や注意喚起なども行ってお り、日々、地域の管理業務に努めています。その他、下水道用地に伴う、境界明示測量や各事業所からの排水などの水質調査業務も行っています。

市民への啓発活動

市民への啓発活動としては、12カ所の下水処理場ごとに『シンボルツリー(つつじ・ばら・さつきなど…)』を設け、開花時期に合わ せて『下水処理場の一般公開』を開催。市民とふれあう場をつくりながら下水道の仕組みや防災を中心とした啓発運動を進めています。その他、小学生の社会科 見学や中学生の職業体験学習、公募による地域住民の施設見学などを通じて、下水道の仕組みや処理場施設・抽水所施設などの必要性を訴え地域住民の理解を求 めています。

また、特に土地が低く浸水被害の恐れがある地域では住民との直接対話や土のうを準備するなど、各家庭で浸水被害防止に向けた対策を 実施できるよう指導に務めています。同時に、自然災害などにより各家庭のトイレが使用できなくなった場合の対応として各地域や下水処理場などに仮設トイレ を設置していることから、施設見学や住民との対話の際、設置場所や避難場所の説明を行っています。

さいごに

2012年に府市統合本部より、下水道事業の経営形態の見直しの方向性が示されました。内容は、『維持管理と投資の両面から事業の 効率化を進めつつ、府・市・周辺自治体の課題に対して能動的に対応できる体制構築をめざし、市下水道事業に対して、上下分離・コンセッション型による運営 管理を含めた経営形態を検討』するとして、将来的に管理運営を行う『新組織設立』に向けた動きが進められています。

現在、大阪市建設局が大阪市内の東西南北に設置している方面管理事務所のうち、2013年に西部方面管理事務所の下水道職場が一般 財団法人都市技術センターへ派遣となり、2014年4月には残りの3方面事務所が派遣となりました。2015年には新組織へ移管することが予定されていま すが、近年増え続けている浸水被害への対策だけではなく東日本大震災の教訓を踏まえた自然災害への対策を含め、真の住民ニーズに応えることができるのか懸 念されているところです。

みなさんは、市民の財産を自然災害などから守るために中心となって担うべきところは、いったいどこだと思いますか…。自治体の役割や本来の行政の責任と役割とは、一体何なのでしょうか…。

(※1) 局地的集中豪雨
30キロ平方メートル前後の狭い範囲で突如積乱雲が発生し、1時間に80mm~100mm以上の強い雨が降る現象。
(※2) 活性汚泥法
ツリガネムシなどの微生物に汚濁物質を分解させ、きれいな処理水をつくる方法。
(※3) ファーストフラッシュ
地表面や管路施設に堆積した高濃度の汚濁物質が雨水とともに一挙に流出する現象。
※降雨直後に各地域に設置されている側溝から流れるごみも一緒に河川へ放流されます!側溝などにごみを捨てるのは、やめましょう!
(※4) 喞筒場
ポンプ場

橋下政治/レトリックの分析

Filed under: オピニオン — 編集部 @ 12:34:45

尹 誠國 PLP会館大阪地方自治研究センター

政治学においては、政治家や候補者の発言の内容に注目し、彼らの統治戦略や選挙戦略を分析する政治レトリックの分析という分野があ る。「レトリック(rhetoric)」は、雄弁術、弁論術、説得術とも訳され、弁論・叙述の技術に関する学問である。日本ではレトリック研究者はあまり 多くはないが、アメリカでは、主にコミュニケーション学部やメディア学部などにおいて研究されており、学問・実践両面から政治家の戦略・戦術の分析のため に用いられている。これは、社会的合意形成のためには活発な政策論議が欠かせない、移民の国アメリカならではの特徴であると言えよう。

1 政治レトリックの分析

政治レトリックの分析手法として、ここではまず、主に演説の内容や流れ、そして演説が行われたタイミングや会場の設定などに注目す る。言葉という手段を駆使し、聴衆を感動させ、引きつける魅力のある演説とはどのようなものなのか。例えば、ヒトラーは演説を行う時間を選び、主に夕方に 演説を行ったという。それは、夕方は一般的に人間の心理的バリアが一番弱まる時間帯であるためだ。また、会場や聴衆の数によって演説の内容や言い方を変え ている。大きな会場では、演説の内容よりはパフォーマンス、つまり、会場を沸かせ集団心理を刺激するのが有効である。少人数の小さな会場では、厳密に問題 の核心を突く喋り方が必要であるとされている。

そして、演説を行う時間帯や会場だけではなく、内容も重要であるのは言うまでもない。川上徹也は、『独裁者の最強スピーチ術』(星 海社/2012年、153頁)において、人を感動させるストーリの黄金律としては次のようなストーリの展開が重要であるとしている。川上氏によれば、橋下 市長の演説は、人を感動させるストーリの黄金律に見事に合致しているという。より詳しく見てみよう。まず、何かが欠落した、欠落させられている主人公がい る。例えば、「今は一弁護士であります。昨日をもって知事を辞任しました」、「我々人柄の悪い、しかし実行力はある橋下と松井…」。次に、なんとしてもや りとげようとする遠く険しい目標・ゴールを目指していることを強調する。「二重行政をなくし…、東京、大阪二つのエンジンで…」。そして、ゴールを目指し ていくことを「邪魔する」数多くの障害・葛藤・敵対するものに立ち向かっていくという努力を強調するために、労組や学者、マスコミを敵として設定し、非難 し、攻撃をしかけてくる。

2 橋下市長のツイッターから見えてくるもの

橋下市長は、少なくとも表向きには常に強がりを言い、歯に衣着せぬ喋り方で知られている。そのため「強い」政治家というイメージが あるが、彼のツイッターの内容を見ると、橋下市長という政治家は常に何かの権威にあやからなければならないという、非常に弱い一面を持っていると思われ る。

修辞学における政治レトリックの誤謬ごびゅうというのがある。誤謬とは誤った理由づけに基づく発言や議論である。その誤謬の一つに 権威に対する訴求がある。これは、提唱されている政策の有効性を証明する代わりに、発言者の権威を前面に押し出すことで自分の正当性を主張しようとするこ とである。権威に対する訴求の定義については、鈴木健『政治レトリックとアメリカ文化―オバマに学ぶ説得コミュニケーション』(朝日出版社/2010年、 75頁)。

橋下市長のツイッターには提唱されている政策の有効性を証明しようとする議論はほとんどない。自分の権威、つまり、民主主義国にお ける最大の権威かもしれない選挙で勝っていることを非常に強く主張している。この点をより具体的に見るために、橋下市長の2014年2月のツイットの内容 を中心に検討する。この時期は法定協での議論が進まず、橋下市長が出直し選挙を決意した頃である。太字の部分を注意して見ていただきたい。

まず、「…法律で住民投票で決めるとなった。そうであれば、住民の皆さんの判断を仰ぐためにも、大阪都構想の設計図までは作るとい うのが選挙で選ばれた我々の使命だ」、「…そもそも大阪都構想の設計図を作って住民の皆さんに見せるまでは、前回の統一地方選挙、知事、市長選挙の結果と して議会も協力しなければならないはずだ。日本には民主主義が根付いていない」、「…住民投票で住民に決めてもらう。議会が否決するような話ではない。住 民が判断する…」、「…立候補して選挙で僕の首を獲ったらいいんです」

このように、常に「民意」、「住民」、「民主主義」を強調している。このような発言を聞くと、彼は民主主義の崇高な理念の信奉者で あり、民意を大事にする政治家であると思われるかもしれない。しかしながら彼の主張には致命的な弱点がある。確かに彼は選挙で勝ち、市長になった。だが、 都構想に対する反対論を延々続ける法定協の野党の議員もまた選挙で当選しているのだ。民意の種類が異なるだけで、民意であることに変わりはない。そして彼 が言うように、法律で住民投票で決めるとなった。しかし、彼が言っている法律(大都市地域における特別区の設置に関する法律)の規定によると、議会で承認 が得られない限り住民投票はできない。法律の趣旨は、二元代表制という日本の地方自治制度の大原則に基づき、議会で十分な議論をし、議会の意見も踏まえた 意思決定がなされることにあるといえよう。

これらのことを見ても、橋下市長は、自分は選挙で勝っているという権威にあやかっていることが非常によくわかる。民意を問う前に議 論を積み重ね、市長を支持した民意以外の民意も尊重されるべきである。しかしながら、橋下市長は民主主義と民意を強調しながらも、自分を支持している民意 以外には興味がない。これは本来の民主主義のあり方とは相反するものである。

橋下市長の権威に対する訴求は、維新の会の広報資料にも表れている。維新プレスVol.10(平成26年11月9日)には、「二重 行政の解消・住民自治充実の大阪都構想に、安倍総理、政府自民党は賛成です。」とし、安倍総理の発言として「いわゆる大阪都構想でありますが、二重行政の 解消と住民自治の拡充を図ろうとするものであり、その目的は重要であると認識しています(平成26年10月6日衆議院予算委員会にて)」としている。この 発言が、政府が大阪都構想に賛成していることの証拠になるかどうかは別として、これは、権威への訴求という橋下市長の政治戦略の典型的な表れであるといえ よう。日本のリーダーである安倍総理の権威にあやかりたいのであろう。

しかしながら、それは、橋下市長があやかっているもう一つの権威、つまり、民主主義という観点から考えたら大きな矛盾を抱えてい る。橋下市長は日本維新の会に属しているため野党の一員である。野党は、英語ではopposition(反対)party(政党)と言い、与党との政策的 な違いや対立軸を鮮明に出し、次の選挙で政権獲得を目指すのが本来野党のやるべきことであり、それこそが民主主義の大前提である。実際、2014年12月 の衆議院選で、橋下市長は自民党と戦ったはずである。安倍総理は日本のリーダーではあるが、日本維新の会の戦う相手、自民党の総裁でもある。敵の政党の党 首が支持してくれているということを、野党が自己アピールの資料として使うのは、民主主義という観点からはあり得ないことであろう。しかしながら、ツイッ ターに表れているように、権威への訴求が橋下市長の典型的な政治手法であるとすれば、それも決して不思議なことではない。

茨木市における障害者就労支援の取り組み/「スマイルオフィス」

Filed under: オピニオン — 編集部 @ 12:30:24

中村 信彦 茨木市議会議員

障害者権利条約の批准

障害者施策の関連法がこの間大きく変わってきています。こうした障害者施策をめぐる大きな流れを時系列でみると次のようになります。

まず国連で障害者権利条約が2008年に発効して、日本政府もこの条約の批准に向けて、国内法の整備を進めました。2011年の7 月に障害者基本法を改正し、2012年6月には障害者自立支援法を障害者総合支援法に改正、また、障害者優先調達推進法も公布しました。そして、障害者総 合支援法も障害者優先調達推進法も、2013年の4月から施行されています。さらに、2013年の6月には障害者差別解消法が公布されました。この障害者 差別解消法の施行は2016年の4月からということですが、こうした一連の障害者関係の国内法の整備を行った上で、政府は昨年の12月に、我が国が障害者 権利条約を批准するための国会承認を取りつけ、2014年1月に国連に申請し2月19日からこの障害者権利条約の効力が日本でも生じることになりました。

批准した条約は憲法に次ぐもので一般の法律よりも上位に位置づけられます。日本はこの条約を批准するために必要な国内法の整備を進 めてきたものであり、障害者関連法の規定もさることながら、障害者権利条約でうたわれている精神や内容を広く国民に啓発しノーマライゼーションの社会を目 指していかなければなりません。とりわけ行政や障害福祉に携わる者は、条約でいう障害者への「合理的配慮」とこれまでの「医療モデル」から「社会モデル」 への転換の流れを十分認識し、今後の障害者施策に取り組んでいくことが求められています。そして行政的には国・府・市町村の中で障害者の暮らしに最も身近 な基礎自治体が障害者施策推進の主体であるという認識にたって、各自治体が障害者施策の推進を図っていかなければなりません。

茨木市は2014年3月の市議会本会議で次のように答弁しています。

「(健康福祉部理事)障害者施策の主体はということでのご質問でございますが、障害者権利条約では、障害者のあらゆる人権及び基本 的自由の平等と尊厳の尊重を促進することを目的としております。この条約において、認められている人権の実現のため、全ての適当な政策及び計画において、 障害者の人権の保護及び促進を考慮に入れることとうたわれております。本市におきましても、この条約の理念にのっとり、障害者の生活に最も身近な基礎自治 体であるという認識のもとに、障害者施策を推進してまいります」。

こうした視点にたって平成27年度からの新しい障害福祉計画の策定作業が現在進められています。

茨木市では、こうした一連の障害者関連法改正の前から「行政の福祉化」を庁内的に取り組んできました。

「行政の福祉化」

「行政の福祉化」に取り組んだきっかけは、地方自治法施行令が2001年2月に改正され、従来は、価格競争型の入札が主流だった のが、総合評価入札も可能となったことでした。そもそも「行政の福祉化」とは、市役所の様々な業務の中で工夫をすることにより障害者や就労困難者の就労や 自立支援等に繋げようという取り組みです。

茨木市ではこの地方自治法の改正を受け、2008年度から総合建物等管理業務委託において、「価格評価」だけでなく、「技術力」 や、「福祉への配慮」、「雇用に対する取り組み」、「環境への配慮」、「社会・文化貢献」、「災害時の業務体制」など、本市の施策を反映する「公共性(施 策反映)」を併せて評価し、総合点数が最も高い企業を落札者とする総合評価一般競争入札を導入し、障害者や就職困難者の雇用、労働環境の整備、環境や男女 共同参画への取り組みを推進することを目的として実施しています。

この総合評価競争一般入札の実施に向けて、茨木市は2008年に「行政の福祉化」実施要領を作成しました。そして、総合建物管理業 務に係る総合評価一般競争入札連絡検討会設置要綱の作成の際、その第7(行政の福祉化推進会議との連携)に「連絡検討会は、行政の福祉化に関連する評価項 目等の検討事項について、行政の福祉化推進会議と連絡を密にし、相互に連携して行うものとする」と明記しました。

茨木市庁内職場実習事業

その他にも「行政の福祉化」の一環として、2010年1月から茨木市庁内職場実習事業が始まりました。その目的は、障害者に市役所 および市の施設内の職場における実習の機会を提供することにより、障害者の就労に対する意欲を高め、もって障害者の自立および社会参加並びに一般就労への 移行を促進するとともに、公務労働における障害者の職域の開発に寄与することを目的とするとしています。例えば市の施設においても、いろんな事業者に職場 実習をお願いしていますが、今度は市役所の庁内において、障害者の方に職場体験をしていただく事業を立ち上げたのです。

まずはじめに、障害福祉課から市役所の各課に対して、障害をお持ちの方を受け入れてできるような仕事があるかを照会しました。そし て各課のほうから、こういう仕事があります、こういうことができますよということの回答を集約し、それで茨木市と茨木摂津障害者就業生活支援センターとが 協力して、就業生活支援センターから推薦を受ける形で実習生を決定したわけです。

最初の年は、1月から3月の期間で実施するということで3月末までに23人の実習生が職場実習を受けました。延べ実習期間は140 日間になりました。最初は市内事業所からの受け入れで実施しましたが、その時申し込みがあった事業所は6カ所でした。そして庁内で受け入れた課は9カ所で した。

具体的には、こども政策課ではパンフレットの折り込み作業、福祉政策課では郵便物の仕分け作業、障害福祉課と高齢福祉課では、タク シーチケットの更新申請の書類等を郵送するためのインデックス貼りや封入作業。人権推進課では自殺予防の街頭キャンペーンのグッズづくりの作業、建設指導 課では情報管理システムの入力作業、道路交通課では交通安全教室、保育所や幼稚園で交通安全教室が開かれるときに、受けられた方に渡すメダルをつくる作 業。文化財資料館では、市内にあるたくさん遺跡から発掘された土器の洗浄作業。沢良宜いのち・愛・ゆめセンターでは清掃業務などです。この取り組みを通じ て障害福祉課だけではなく、受け入れた各課でも障害者の就労支援に対する職員の意識が大きく変わってきました。

そしてこの事業は2010年度以降も引き続き実施されています。2012年度は20の事業所から71人の実習生を受け入れ、19課2機関で延べ327日間にわたる実習を行い、その実習生のうち4人が一般就労につながりました

スマイルオフィス

2013年度からは、これまでの庁内職場実習の取り組みの実績を踏まえスマイルオフィスが新たに本庁南館1階に開設されました。

その内容は、市が3人の障害者を直接6カ月間雇用し、短期間ではありますが、就労支援を行うというものです。昨年4月の開設から最 初の上半期の雇用を受けた3人のうち1人が一般就労、残りの2人は就労継続支援B型事業所において引き続き一般就労に向けた取り組みを行っています。

今後、市としてこの取り組みをさらに推進して企業への障害者雇用の促進を図るため、就労訓練として実践力を身につける企業実習の取り組みも検討しています。そのための受け入れ企業との関係づくりや就労を支援する関係機関との連携強化が今後の大きな課題です。

また2014年度から就労支援担当職員を障害福祉課に配置して、障害者の一般就労に向けたモデル事業を実施しています。具体的に は、就労およびそれに伴う日常生活上の支援を必要とする障害者に対して窓口での相談、職場や家庭訪問による指導・助言を行うとともに、ハローワークや就 業・生活支援センター等の関係機関との連携を図るというものです。特に、障害者を受け入れる民間企業への啓発や関係性の強化を図り、障害者の雇用促進に向 けて、その支援策を構築することが求められています。

以上、茨木市における障害者就労支援の取り組み報告といたします。

誰もが働ける社会/生きていける社会を築く―自治体と地域の取り組み―

Filed under: オピニオン — 編集部 @ 12:28:43

櫻井 純理 立命館大学産業社会学部教授

7月1日、自治研センター総会で櫻井先生から記念講演をしていただきました。以下、自治研センターで作成した要約となっています。

この数年間、豊中市の就労支援政策の調査をする過程で就労支援は基礎自治体が提供するにふさわしい公共サービスだと考え、今日のテーマとしました。

豊中市で行われている就労支援活動は、なかなか働けない人や仕事がみつからない人への支援(労働市場における供給面への働きかけ) だけでなく、働ける場をつくりだすということ(需要面への働きかけ)も含んでいることが特徴的です。求職者に対する職業訓練とか働く手前の生活支援や就労 準備など人に対する投資を行う一方で、地域の中にそういう人が働ける場をどうやって増やしていくかというのも非常に大事なのです。この両方をうまく組み合 わせながら就労困難者や生活困窮者をサポートしていく、これが就労支援ということになります。また、就労支援では「就職」のみならず「定着」の支援もして 働き続けられることを目標としています。このことは非常に大事です。仕事の経験が少ない人とか、長い間引きこもっていた人、どんな仕事をしても続かなかっ た人を、「うまくいくと思います」と紹介しても、その後長く働いてもらえるのかと受け入れ側の企業は不安に思います。そのためにも定着のための支援は重要 なのです。

豊中市での具体的な支援内容としては、2003年度に始めた地域就労支援事業を核にしながら多様な支援を展開してきました。 2006年度には無料職業紹介所を開設しました。地域就労支援センターが相談の受付場所になり、ここで受けた相談を無料職業紹介所に登録されている企業の 求人などと結びつけながら、就労その他の活動に導いていくという枠組みを作ったのです。ひきこもりがちだった人が外に出て地域の活動に参加したり、地域内 の協力事業所で短期間の就労を経験したりしながら、無料職業紹介所などが開拓をしてきた求人企業とマッチングをしていく、こういうスキームをつくって実践 してきました。豊中市の特徴は、訓練的就労の機会として緊急雇用創出基金事業を積極的に活用したことです。また、クリーニング会社や物流会社、製造業など いろいろな民間企業が就労困難者を最終的に受け入れて、雇用に到った例がたくさんあります。

その後、パーソナル・サポートサービス事業というものが2010年に始まりました。これは全国の自治体で手をあげたところに国がお 金を出して、モデル事業として始めたのですが、豊中市もそこに手をあげて2年間実施しました。それまでの就労支援事業ではなかなか就職できなかった、就労 阻害要因が複雑・深刻で個別的・継続的な支援が必要なケースについて、この新しい就労支援の枠組みで取り組み始めたのです。この事業は今年度から「生活困 窮者自立促進支援事業」に引き継がれています。豊中市は、今までの地域就労支援センターでもパーソナル・サポートサービスを始めていましたが、それだけで はなく、新たに豊中市パーソナル・サポートセンター(TPS)を立ち上げて、主に若者支援に重点を置いて集中的に支援する仕組みを作りました。地域就労支 援センターに来た相談者の就労阻害要因を計数化して、特に就労が難しいケースを新しく作ったTPSで対応することにしたのです。さらに、テレビドラマや報 道で大きく取り上げられた豊中市社協でも、CSW(コミュニティ・ソーシャルワーカー)をベースとした地域福祉のネットワークを活かしたパーソナル・サ ポート事業を実施しました。このように、豊中市では新設のTPSも加えた地域就労系の支援と、市社協の地域福祉系の支援という大きく二つの流れでパーソナ ル・サポートサービスが行われました。

豊中市の施策のどこが新しいかというと3点にまとめられると思います。1点目は、地域就労支援事業という同和地域への支援政策とし て導入された大阪府の事業を、一般的な労働政策として本格的に展開したということです。2点目は、無料職業紹介所を自ら作って、地域で求人企業の開拓活動 までやったことです。就労困難者への支援を主目的とした自治体無料職業紹介所は全国でも珍しい存在です。地域就労支援センターでていねいに相談にのって、 どういう人がどういうことに困っていて、どんな仕事ならできそうかということを、個別の求職者を頭において、地域の企業をまわることができるのです。無料 職業紹介と地域就労支援センターは普段から密接に仕事をしていますから、今どういう人が登録をしていて、この間紹介した就労先ではどういうところが評価さ れたけれども何がうまくいかなかったのか、というようなことが全部頭に入っているわけです。ですから、今度はこういう職場・仕事ならうまくいくかもしれな いから紹介してみようというふうに、それぞれの団体のコーディネーターが常にミーティングをしながら、その人にあった勤め先を見つけていくようにしている のです。つまりそれぞれの困難要因に一つひとつていねいに対応しているのです。3点目の特徴は、国・府の助成金を効果的に活用したことです。かなり多くの 緊急雇用事業を新たな(一時的)雇用の場として設けてきました。これに対しては、国の助成金が途絶えた時にどうするのか、結局また仕事を失ってしまうので はないかという批判的な見方もあるだろうと思います。ただ、どういう仕事や職場が就労困難な人の就労先としてうまくいくのか、こうした就労経験をしっかり ふり返ってこれからにつなげていくことが大事だと思っています。

豊中市の地域就労支援事業は、最初は、大阪府が補助金を半分出して各市町村が半分お金を出す、という形で始まったものでした。しか し、2008年に大阪府の橋下知事(当時)が、関連4事業を統合した交付金事業に変更しました。統合された4事業の中のどれだけを地域就労事業にあてるか ということは、交付金を受けた各市町村次第になるわけです。豊中市の場合は、一般財源の予算も少しずつ増やしながら、交付金事業になってからもこの事業を 継続・拡大してきましたし、事業の実績も増加しました。特に2006年度の途中に無料職業紹介所を開設し、2007年度の相談件数は前年の246件から 445件に増加しました。また、2010年度の相談件数631件が2011年度には892件と大幅に増加しています。これは、福祉事務所がセーフティネッ ト補助金を厚生労働省から受けて、主管する生活保護受給者向けの就労支援事業を地域就労支援センターと連携して行うようになったからです。就職率も 2011年で41.3%と、様々な問題を抱えた人が多いにもかかわらず高い数字になっています。

最後に今後の政策に関する示唆について指摘したいと思います。生活困窮者を対象とする自立促進支援事業が来年度から全国の福祉事務 所設置自治体に拡がっていきます。その際には、行政内部の部門間連携がいっそう重要になるでしょう。就労支援というのは、福祉部門と労働部門の連携はもと より、教育や保健医療など自治体のいろんな部門が協力し、つながって実施するほうが効果的です。地域の中で仕事が見つからない、なかなか経済的に自立でき ない人がどこに埋もれていてどういう困難を抱えているのかということを、行政内部の様々な部門がアンテナを張って発見していくことが重要です。また、就労 支援の「出口」は雇用(企業)だけではなく、教育や職業訓練、福祉的支援など多様です。地域の資源を開拓・活用した就労支援の仕組みを作る時には、庁内の 横の連携をどうするのかが非常に重要になることを申し上げて終わらせていただきます。

2015/3/23 月曜日

大阪市の「廃止・分割阻止」にむけた見解を発表/大阪市民と連帯し全力を尽くす

Filed under: オピニオン,最新情報 — 編集部 @ 15:06:28

自治労大阪は、大阪府議会、大阪市会で大阪市の廃止・分割の協定書を議決したことに対し、反対する趣旨の見解を発表しました。

以下、見解全文です。

「廃止・分割阻止」にむけた自治労大阪府本部見解

2015年3月13日、大阪市会は大阪市の廃止・分割の協定書を議決しました。その後、3月17日の大阪府議会においても同様の議決がなされ、大阪市の廃止と特別区の設置の是非を問う住民投票は5月17日に実施されることが確定しました。

過半数の議員がその内容に反対であるにもかかわらず、議決したということは、議会がその独立性と主体性を喪失したということであ り、本来であれば議会の死を意味します。事実、住民投票で大阪市の廃止・分割が承認されれば、2017年3月末日で大阪市役所も大阪市会も消滅します。基 礎自治体中心主義による地方分権改革を求めてきた私たちは、これを容認することはできません。

今回の住民投票は、拘束型と言われるもので、政策決定の参考とする諮問型とは異なり、議会や首長はその結果に縛られます。仮に承認 されれば、協定書どおりに大阪市の廃止と特別区の設置を推進せざるを得なくなります。今後の検討によって、特別区設置時期の延期や事務分担の見直し、区割 りや区の名称の変更などを行うこともできません。しかも、いったん廃止されれば、うまくいかなくても元の政令市に戻ることはできません。

政令市を廃止・分割すれば本来、行政コストがかさみます。税収の少ない特別区を財政破綻させないためには、不可能ともいえるコスト カットのタガをはめるしかありません。当然、住民サービスは低下せざるをえません。中核市並みの特別区の名の下に府県の所掌業務まで特別区に分担される福 祉行政や教育行政に甚大な影響が生じることは避けられません。これがいわゆる「都構想」です。大阪市廃止・分割を阻止するためには、橋下市長のデマゴーグ に満ちた言動により巧妙に隠ぺいされたこの真実を正確に、分かりやすく、市民に伝え、賢明な判断を呼び掛けることが何より大切です。市民は観客ではなく、 自治の主役であることを訴え、市民を信頼した取り組みが希求されています。

大阪市廃止・分割に対する賛否は拮抗しており、住民投票の帰趨は予断を許しません。自治体の存廃のような課題は、本来、代議制民主 主義に基づく熟義を経て、合意形成の上で、市民に了承を求めるべきものです。このように世論が二分したままに、住民同士を対立させ、亀裂を生み、禍根を残 しかねない手法で結論づけられるべき問題ではないはずです。

しかし、賽は投げられた。

私たちは大阪市の廃止・分割を座視するわけにはいきません。大阪をあきらめるわけにはいかないのです。私たちは住民投票で「反対」 票が多数を獲得することで、大阪市廃止・分割を阻止する行動に立ちあがらなければなりません。私たちは、大阪市廃止・分割に反対するすべての大阪市民と連 帯し、これまで自治労大阪府本部が築き上げてきたあらゆるネットワークをフル稼働させ、5月17日までの約60日間、大阪市廃止・分割阻止に向けて全力を 尽くします。

2015年3月20日
自治労大阪府本部

2014/10/31 金曜日

「特別区設置協定書」の否決を受けての自治労大阪府本部見解

Filed under: オピニオン,見解 — 編集部 @ 16:29:41

2014.10.27
自治労大阪府本部執行委員会

大阪府議会および大阪市会に承認を求めていた「特別区設置協定書(以下、「協定書」)」について、本日(2014年10月27日)、府市両議会はともに反対多数で否決しました。

両議会が、真摯な議論を重ねた上で「協定書」を否決したことは、住民の代表機関である議会の良識を示されたものであり、敬意を表するものです。

自治労大阪府本部は、いわゆる「都」構想は、住民自治や基礎自治体の拡充に逆行する「府県集権主義」の構想であり、補完性原理に基づいて推進されるべき地方分権改革とは相容れないとして、この間一貫して反対し続けてきました。

「協定書」は、2013年8月の法定協議会に示されたパッケージ(制度設計)案を基に策定されていますが、パッケージ案は、指定都 市としてのスケールメリットを生かした都市経営を否定し、特別区に分割することから生じる行政的非効率を、一方では「民主主義のコスト」としながらも、地 方交付税の増額を求めないという総務省との約束との整合性をつけるため、その矛盾を特別区の行政権限や行政執行体制、財政的基盤の脆弱化によって糊塗する 設計案となっていました。

その結果、市民のチェックやコントロールが及びにくく、しかも本来特別区相互の合意のもと設置が決定されるべき巨大な一部事務組合 が計画され、さらに、特別区には近隣中核市との単純比較を基に算出した実現性の疑わしい職員削減計画が課されており、計画通りに職員削減が実行されなけれ ば立ちいかない財政シミュレーションとなっているなど、名ばかりの「中核市並みの特別区」となっていました。

「協定書」は、①事務分担にかかる133の法令改正を国に求め、中核市権限の76の改正について総務省とほぼ合意しているとしてい たにもかかわらず、1本の法律改正も行われず、すべて府の事務処理特例条例によるとされたこと、②都市計画の用途地域の指定等は事務処理特例条例による移 譲になじまないとの国土交通省の指摘を受けて、府の事務とされ、特別区のまちづくり権限が縮小されたこと、③地方交付税(臨時財政対策債を含む)は法令上 の調整財源とはされず、府の条例で特別区に配分されることになったことなど、当初のパッケージ案に比べても府の裁量権限が強まったものとなっています。

「協定書」は、もはや地方自治改革の制度設計案としても破綻しており、府市両議会の否決はきわめて妥当な判断であると支持します。 橋下市長、松井知事には、違法な「専決処分」など、これ以上の民主主義の破壊行為を行うことのないよう強く要望するとともに、両議会の真摯な議論と判断を 尊重して「都」構想を断念されるよう期待するものです。

以 上

 

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